突拍子も無いような設定ながら、Beatlesの存在がない事で音楽の歴史が変わっていたり、Help!のアレンジが新たな解釈でよりパンクな曲調になったりと、その辺りのリアリティも秀逸でした。
ある意味でチート能力を与えられてしまったものの、どこまでも冴えないけど小心者な主人公を応援したくなる、ちょっと不思議な王道のラブコメ音楽映画として完成度が高く、とても面白かった。
観た記憶を思い出しながら「上手く考えられてる」と感じた点についてまとめます。
ボカして書いてますが、ネタバレ注意です
BeatlesだけじゃないIFの世界
主人公は異世界転生のような出だしでBeatlesが存在しない世界に飛ばされます。 しかし存在しなかったのはBeatlesだけではなく、日常的に存在していたものがその世界では存在しない事に主人公は徐々に気づいていきます。 別世界ならそういう事が起きても当然ですが、どんなに当たり前なものでも「それを作ろう」と実行した人がいなければ存在しません。
それを広げて考えていくと、世界は小さいIFの連続で成り立っている事になります。 1人の小さな選択が誰かに影響を及ぼし、それが連続してやがて世界に大きな影響をもたらす「バタフライ・エフェクト」は決して理論上の出来事ではなく、身近な物です。
人生の選択の意味
主人公は様々なIFによって歴史が変わった世界を目の当たりにして、人生で選択がもたらす事の重大さを徐々に知っていく事になります。 作中、主人公の友人でローディを務めている男がこう言います。
「人生に何にも意味がないと思っていた。でもお前のおかげで気づけた」
パラレルワールドにて人生の意味を知った主人公は大きな選択を迫られることになります。彼がどのような選択したか…それは見てのお楽しみで。
まとめ
現代ではあらゆる物の規模が大きくなり、個人の選択に何の意味があるのか分かりにくくなっていますが「なんでもないような事でも、実は大きな意味をある」と肯定してくれるテーマを感じました。
こういう小恥ずかしいようなテーマを説教的ではなく、自然とエンタメに組み込んでいるのは見事だと思います。