プログラマーが発達障害検査を受けました
何故受けたのか
元々、睡眠薬を貰うために精神科に通っているのですが、「仕事のコミュニケーションの面や、集中力が続かなくて困る事がある」と伝えたら発達障害検査を勧められました。 前々から「自分が発達障害では?」という気が薄々していたり、子供の頃に言葉を喋りだすのが遅かったり、交友関係を築くのが難しいなど心当たり自体はたくさんありました。
自分が受けたのは「AQテスト」と「知能検査 (WAIS-IV)」です。 検査は医師と1対1で行いました。
AQテストの結果
このテストは自分の性質や性格に対しての質問に筆記で答えるものです。 小さい頃に、何か物に執着があったとか、人の感情を察するのが苦手……などです。 自分はこのテストでは「ADHDまたはASDの兆候が見られる」と判断されました。
知能検査 (WAIS-IV) の結果
試験詳細はネタバレになるのですが、筆記、パズル、聴覚を通じて行う検査です。 各項目としてはこんな感じです。
- 全検査IQ 各項目の平均、いわゆるIQと言われる指数
- 言語理解 言葉に対する理解力
- 知覚推理 図形などの視覚情報を処理する能力
- ワーキングメモリー 聴覚で記憶した情報を保持する注意力
- 処理速度 視覚で認識した情報を基に作業を行う能力
自分の結果は下記になります。

なんとなく低いだろうと思っていたワーキングメモリーが丁度平均でした。 また処理速度も遅いとは予想していたものの、それ以上に低くて、時間制限に余裕がないタスクをこなすのが苦手な理由も合点がいきました。 ここらへんに「口頭の指示をメモする」が苦手な理由がありそうです。
言語理解と知覚推理は手応えはあったとはいえ平均より上で驚きました。 何に役立っているか考えましたが、思い当たる節としては下記です。
検査結果として「処理速度」が平均よりも下回るレベルで低いことがネックになっていることがわかりました。 試験の総評として「一度に大量の仕事は引き受けず、一度に処理する仕事の量を制限する必要がある」とありました。
ADHDかASDか
2つのテストの結果はASD寄りと判断されました。ADHDの場合は知能検査の「処理速度」が高い傾向にあるそうですが、自分は逆に低いのでASD寄りと判断されました。
自分がプログラマーとして助かっていること
ASDや知能特性を踏まえた上で、現時点でプログラマーとして就労していて、この点が楽だと思うことです。
- 口頭での複雑な指示ではなく、基本的にチャットツールを通じて文章で指示や情報共有すること
- チケット管理ツールなどで具体的なタスクを記載して管理していること
- 1人で集中して作業する時間、空間があること
- 職場によってはリモートワーク可能で、落ち着いた環境で作業できる事
- 作業効率のムラを時間でカバーするのもある程度柔軟にできること
今まで働いてきたIT企業が全部こんな感じだったわけではないのですが、IT企業文化として、「チャットツールによる文章指示」「チケットによる具体的なタスク管理」があります。それが自分の「口頭で指示された事を覚えるのが苦手」をカバーできています。
また、多くのIT企業には給料に固定残業代が含まれており、毎度残業申請しなくても「今日はキリがいいところまでやりたい」と作業優先で進めることもあります。作業効率のムラに関してもこれでカバーができています。
現在では出社回帰の流れもありますが、リモートワーク可能な会社は多いです。一時的に出社した事があるのですが、疲労感がかなり酷く、体力的にかなりキツかったことがあります。
総合すると現時点のプログラマーとして就業する上で、知能特性のデメリットはカバーできて個人作業できています。
ASDを抱えた上でキャリアをどうするか
上記で個人作業するのは問題ないと書きましたが、仕事をする上で問題がないわけではありません。
コミュニケーションに難があるため、転職面接をした際に不利になることが多い 管理職として働くには向いていないため、キャリアの制限がある
業務委託契約で、契約期間を期に職場を変えたい場合は企業担当者と「面談」をします。実質的に転職の面接と同じです。 自分は「コミュニケーション・コストが高そう」「コミュニケーション文化が合わなさそう」という点で何度も見送りされており、数ヶ月失職することが度々ありました。一旦就労できればある程度問題ないけど、就労するまでが大変です。
医者にも相談してみましたが、ASD傾向がある人はあまり管理職は向いていないと言われました。 自分のコミュニケーションについて振り返ってみると、例えばチャットで、相手に勘違いさせないようにクッション言葉を入れたり丁寧語にしたり、補足説明を入れたり……など、相手の立場に立って考えると時間がかかります。 定期連絡やドキュメントのような「不特定多数の人に向けた情報共有」の文章は問題ないけど、特定の個人に向けたコミュニケーションの文章を考えるのは苦手な傾向があると思います。
じゃあ管理職にならなければどうするのか……ですが、 Individual Contributor という役職があります。 簡単に言えば人の管理はしないけど個人でバリバリ作業する人です。 目指すならこの方向だと思いますが、個人の興味や体力だったり、難しいタスクに取り組むプレッシャーを楽しむ実力を保持する必要がありそうです。 そもそもこの役職がある会社を見つけるのが難しそうです。
発達障害とどう付き合うか
どの役職でも、日常生活でも、コミュニケーションは避けられません。 が、コミュニケーションをする上で時々相手をイラつかせる事があります。自分としてはイラつかせるつもりが無くてもです。 ここで「自分は発達障害だから分からない」と言えば、イラつかせた相手からしたら「発達障害を免罪符にしている」と更にブチギレされるでしょう。
個人的な処世術は下記です。
- 相手をイラつかせている事に気がついたら素直に謝罪する
- 「こういう時は、こういう事を思っている事が多い」とパターンを覚える
- 無駄に他人の発言に悪意を汲み取らない
- 個人作業が金になる仕事を選ぶ
- 組織外部の人とのコミュニケーションは他の人に任せる
初見で分からない事はもう仕方ないので次回に活かしましょう。
余談: 検査するかどうか迷う人へ
発達障害検査ですが、やってみた感想として「説明書のない電化製品に説明書が後付された」という所感です。
自分が何が苦手か、それに対してどうすれば良いのかを考える道標にはなると思います。 とはいえ精神的な症状は病院に行きだすのが結構難しいです。自分は以前から内科の通院をしていましたが、精神科に行くのは躊躇しました。 そんな自分が精神科に行くようになった契機は、身近な人とのコミュニケーションのトラブルと、面接お祈り続きで失職の実害でした。 明確に「生活が困難になっている」という指標があったので行けるようになりました。
また発達障害検査ですが、手間と時間がかかるので、診察室が複数あるような少し大きめの病院を選ぶことをおすすめします。 最初に通っていた病院は小さいクリニックだったため検査はできませんでしたが、転院して大きめの病院だったのでできるようになりました。